インプラント治療後、味覚や感触が変わることはほとんどないでしょう。
むしろ入れ歯やブリッジなどで十分咀嚼ができていなかった方や口蓋(こうがい)が総入れ歯で覆われて味や温度が感じにくかった方であれば、食べ物をよりおいしく感じるようになるはずです。
まれに、噛んだ感触が鈍く、味が落ちたように感じてしまう方もいますが、これには「歯根膜」というインプラントにはない組織が関係しています。
天然歯の場合、歯根は歯根膜に覆われていて、顎の骨と直接繋がっているわけではないのです。
歯根膜はものを噛むとき、クッションのように沈んだり緩んだりする反射作用が起こり、その刺激が噛む感覚を脳に伝えているのです。
しかし、インプラントは人工歯根が直接顎の骨に埋め込まれていて、歯根膜のような感覚を伝えるセンサーがありません。
そのうえ沈んだり緩んだりする可動性もないため、脳に刺激が伝わりづらいのです。
結果として、インプラントでは強く噛みすぎてしまう傾向があります。
強く噛みすぎると歯やインプラントに荷重負担がかかってしまい、歯の周辺組織や反対側の歯を傷めてしまうこともあります。
つまり、味というよりは感触が変わっているので、慣れるまで少し違和感を覚えてしまう場合があるのです。
こうした違和感を軽減するためかみ合わせの調整などは、ミクロン単位で丁寧に行っていく必要があります。