インプラント治療は噛める喜びを取り戻せる素晴らしい治療法ですが、自費診療のためどうしても費用が高額になってしまいます。
また、治療費は医院によってバラつきがあり、手術内容や治療方針などによっても異なるため、平均的な料金が分かりづらい傾向にあります。
ここでは、インプラント治療費について細かく見ていきましょう。
インプラント治療の相場や目安はどのくらい?
インプラント治療における費用の一般的な内訳として、「検査・診断費用」「手術費用」「インプラント体の費用」「かぶせ物の費用」「メンテナンスの費用」「静脈内鎮静法にかかる費用」「CTスキャンにかかる費用」「骨造成にかかる費用(骨が薄い方の場合)」などが挙げられ、1本当たりの治療費の総額相場目安は28万円~45万円程度と思われます。
料金の幅が広いのは、選ぶインプラントの種類や治療内容の違いを考慮しているためと考えてください。
保険は適応されるのか
インプラントは基本的に自費治療となりますが、国が定めた条件を満たす場合に、保険が適用される一部例外があります。
・腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気、事故の外傷などによって広範囲(※)にわたり顎の骨を失ってしまった状態
・もしくはこれらが骨移植によって顎の骨が再建された状態・もしくはこれらが骨移植によって顎の骨が再建された状態
・医科の保険医療機関の主治医によって、先天性疾患(うまれつきの病気)と診断され、顎の骨の1/3以上が連続して欠損している状態
・顎の骨の形成不全な状態
※適応となる範囲
〔上顎の場合〕 顎の骨の1/3以上が連続して欠損している、もしくは上顎洞、または鼻腔へと繋がっていると診断されていること
〔下顎の場合〕 顎の骨の1/3以上が連続して欠損している、もしくは腫瘍などの病気によって下顎を切除したと診断されていること
インプラント治療が高額な理由
治療費を抑えたいために格安インプラントを検討される方も少なくありませんが、気をつけて頂きたいのは、こういう場合に提示されている金額の多くが、インプラント体のみの料金だということがあります。
インプラント治療はインプラント体そのものの料金と、上部構造である人工歯、検査や手術費用、メンテナンス費用、必要に応じて骨造成の費用などをトータルで考えなければいけません。
そのため、インプラント体1本の料金が格安でも、ほかに付随してくる治療費や材料費が加算されておらず、結局最後には高額になってしまったというケースも昨今みられるトラブルのひとつとなっています。
インプラントの治療費が気になったときは、最初のカウンセリングの段階において、インプラント1本の価格ではなく、必ず治療のトータルでかかる費用を確認するようにしましょう。
なぜ治療費が歯科医院によって異なるのか
インプラントを埋め込む箇所により治療の難易度は変わります。
たとえば、前歯にインプラントを埋め込むときは、目立つ部分なので審美性を考慮し、歯肉の形を整える処置(歯周形成外科)が必要になるケースや、審美性の高い上部構造を用いる事により、治療費も上がります。
また、インプラントシステムは、国内外のメーカーを合わせると100種類以上あります。
インプラントは身体の中に埋め込み、その後、長期間にわたって使用するものだからこそ、信頼性が高く、安全なインプラントシステムを選ぶ方が良いでしょう。
インプラント治療費の大半は検査や手術にかかるもので、これらは自由診療なので医院ごとに金額を設定することができるため、治療費用の差が総額の差にあらわれます。
インプラント治療費の内訳
治療内容 | おおまかな費用 |
---|---|
検査・診断費用 | 費用なし |
手術(管理)費用 | 100,000円 |
インプラント体の費用 | 約330,000円 ~ |
アバットメントの費用 | 約50,000円 ~ |
かぶせ物の費用 | 約90,000 ~ 200,000円 |
メンテナンスの費用 | 約5,000円 ~ |
静脈内鎮静法にかかる費用 | 費用なし |
CTスキャンにかかる費用 | 費用なし |
骨造成にかかる費用(骨が薄い方の場合) | 費用なし |
格安インプラントの危険
格安インプラントの料金提示には、インプラント体の金額のみを提示している場合があります。
インプラント体のメーカーは多数あり、長期に渡る治療データから安全性が確認されているものもあれば、安全性や耐久性の確認がなされていない激安インプラントもあります。
インプラント治療を受ける場合には、どこのメーカーのインプラントを使用するのか聞き、そのメーカーのインプラントについての情報を収集することが大切です。
医療費控除について
インプラントの治療費は医療費控除を受けることができます。
医療費控除を利用するかしないかによって、かなり実際の負担額が異なってきます。
「自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
これを医療費控除といいます」(国税庁)、とあるように確定申告をすることで、以下の計算式で算出された金額が税額から控除されることで、源泉徴収された税金の一部が戻ってくる制度です。
具体的には、その年の1月1日から12月31日までの間に払った、生計を一にする家族全員の医科・歯科の治療費の合計で、右図の式で計算した金額(最高200万円)です。
手続きは医療費の支出を証明する書類(領収書など)を添付して確定申告書に必要事項を記載し所轄税務署に提出します。書類提出のために、領収書や交通費の記録などもきちんととっておきましょう。
この金額はあくまでも課税の対象から控除される金額ですので、この金額に対して支払った分の税金が戻ってくる金額となります。実際に戻ってくる金額は「医療費控除対象額×所得税率」となります。
詳しくは税務署にお問い合わせください。