歯科麻酔には次のような種類があります。
■局所麻酔法
主に注射器で麻酔薬を打つ方法で、歯科で最もよく用いられる麻酔です。
局所近くの歯茎に打つ「浸潤麻酔法」と、局所から離れた太い神経の近くに打って広範囲を麻酔する「伝達麻酔法」があります。
伝達麻酔は骨の厚い下顎の奥歯や親知らず、複数歯の治療時に用います。
また、注射針を刺すときの痛み軽減のため、注射する部分に麻酔薬を塗ることもあります。
「表面麻酔法」といい、これも局所麻酔のひとつで、ごく表面の処置や切開などにも用いられます。
■全身麻酔法
意識を失くして、全身の感覚を麻痺させる方法です。
局所麻酔では対応しきれない顎、口腔、舌などの口腔外科手術のほか、患者さまが治療に対し極度に恐怖感を抱いている場合や、心身障害者の歯科治療にも用いられます。
麻酔薬を静脈に投与する「静脈麻酔法」と肺に吸引する「吸入麻酔法」があります。
吸入麻酔法は、吸入濃度を調節することで、麻酔の深さを調節しやすいのが特徴です。
■精神鎮静法
歯科治療に対する不安や恐怖感を和らげて、気分よく治療を受けられるようにする方法です。
少量の精神安定薬や麻酔薬を投与して気分をリラックスさせます。
全身麻酔のように意識を失くしたり、また痛みを直接除去したりするものではありません。
鼻から吸入する「笑気吸入鎮静法」と、静脈内に少量の緩和精神安定剤や麻酔薬を投与する「静脈内鎮静法」があります。
静脈内鎮静法は笑気吸入鎮静法よりも鎮静度が深く、かつ持続します。