インプラントの歴史は長く、最古のものは紀元前550年ともいわれ、人類は遥か昔から、貝殻や動物の骨などさまざまな素材を用いて失った歯を取り戻そうと試みてきました。
最近までは金、銀、コバルト、サファイヤなどの材料で研究され、治療が行われていましたが、どれも人工歯根の素材としては拒絶反応や毒性があり、強度の点からも最適といえるものではありませんでした。
ところが、1965年にスウェーデンの医師ブローネマルク博士が、チタンと骨が結合する反応「オッセオインテグレーション」を偶然発見したことで、現在のインプラント治療の基礎が確立されました。
チタンは人間の体の組織と親和性が高いため骨と強く結合する素材で、腐食や拒絶反応・アレルギー反応がほとんど起こりません。
日本でも1985年頃から普及し始め、現在チタンは厚生労働省の認可も受けていて、歯科以外にも人工関節や心臓のペースメーカー、骨折した骨をつなぐボルトなど広く医療分野で使用されています。
また、チタンは非磁性体といって磁気を帯びない性質を持っていますので、空港などの金属探知機や病院で行うMRI検査などに影響が出ることもありません。
こうしたチタンの特性を利用し、歯の土台の歯根を作り、丈夫で安定した治療を施すことができるのです。