なぜ違和感が?インプラント治療のよくあるトラブル

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なぜ違和感が?インプラント治療のよくあるトラブル

天然の歯と良く似た構造を持つインプラントは、自分の歯に近い噛み心地と審美性を取り戻すことができるのが特徴です。

ところが、直接インプラント体を埋め込むために起こるインプラント特有の違和感やトラブルの話も耳にすることがあります。

違和感やトラブルの原因はなんでしょうか?

 

手術直後に起こる違和感の原因は?




「インプラント」という言葉は、「植える、埋め込む」という意味。
歯科に限らず、義手や人工関節など、身体のさまざまな部分で機能を補うために使われている治療法です。
歯科でのインプラントは、歯が抜けた後、代わりにチタン製の人工歯根をあごの骨に植えつけます。
食べ物を噛んだときの力をあごの骨で受け止めることができるので強度が高く、まさに天然歯をよく再現したものだということができます。

ただ、インプラントを入れたことで違和感を覚えるようになったというケースも耳にすることがあります。
手術の直後に多い声が、「噛んだときにインプラントの人工歯と自分の歯がぶつかって音がする」というもの。
インプラントは天然歯をよく再現したものですが、人工歯の部分は金属やセラミック製で、自分の歯とは若干感覚が異なります。
ほとんどの場合、次第に慣れていくものですが、噛みあわせが強すぎる場合には再調整します。

 

違和感の原因は歯がない状態に慣れていること




歯がなかった期間が長い方では、インプラントを入れて「歯がある状態」を回復させたことが違和感につながっていることも考えられます。
これまでなかった歯が急に入ってくるわけなので、人によってはしゃべるときにろれつが回りづらいと感じることがあるようです。
また、舌に当たって邪魔に感じるとこともあるでしょう。
こうしたケースでは、歯のない状態に慣れていることが違和感の原因です。
本来の「歯がある正常な状態」に時間をかけて慣らしていく必要があります。

また、歯が抜けてから時間が経過している方では、あごの骨が痩せてしまっている方が多く見られます。
高齢者に多い、いわゆる「うめぼし口」は、あごの骨が痩せて後退してしまったために起こるものです。
この状態でインプラントを入れる場合、見栄えを良くするために通常より唇側に歯の位置を決定することがありますが、上唇の裏側に歯が当たって違和感を覚えることがあります。
いずれにしても、違和感の多くはこれまでなかった歯を急に植えたために起こるものです。
よく口を動かしてしゃべり、食べ物をおいしく噛むことで、徐々に違和感は消失していくと考えられます。

 

数年後に起こるかもしれない違和感は重大トラブルの警告


治療後には違和感がなくても、年を経てから次第にあごが疲れやすくなったり、口の中を噛むようになったりしてしまうことがあります。
これは、歯の状態や筋力など口の中の環境が変わることで噛みあわせが変化するために起こるトラブルです。

インプラントの人工歯は、素材の違いから天然歯よりもすり減りにくく、長年使っていることで高さの差が出やすい傾向があります。
このズレを放置しておくと、他の歯にかかる負担が大きくなったり、あごが疲れやすくなったりしてしまうので、再び調整する必要があります。
インプラント治療は一度正しく植えられたからといって、それで終わりではないのです。
手術後は必ず定期的に検診を受けて、噛みあわせのチェックを行ってください。

また、噛みあわせだけではなく、病気によって重大なトラブルにつながるケースもあります。
代表的なものは「インプラント周囲炎」というもので、天然歯の場合の歯周病と同じように、歯周病菌によって歯茎やあごの骨が侵される病気です。

インプラントは人工物なので、残念ながら何か異常があっても痛みや違和感を得られにくく、発見が遅れがちになります。
また、防御機能が天然歯と異なるため、感染が早く進行しがちです。
放っておくと、あごの骨が破壊されてインプラントを支えられなくなり、せっかく入れたインプラントが抜けたり、除去しなければならなかったりする場合もあります。
ですから、インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアと定期的な検診が必要不可欠なのです。

 

インプラントも大切な自分の歯です


インプラント自体は人工物で丈夫なものですが、それを長持ちさせるためには自分の歯と同じか、それ以上に丁寧なケアが欠かせません。
インプラントを支えているのは自分の身体ですし、なによりお口の健康は全体が調和して初めてしっかり機能します。
インプラントも自分の歯なのですから、もう二度と歯を失わないように、毎日のセルフケアと定期的な検診を心がけるようにしましょう。

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